2007/11/02

6&9

 「ルコちゃん、ルコちゃん、」
ん…あ…呼んでる。
「ルコちゃん、ねぇルコちゃん、トイレ行きたい」
うん…はい…いま起きる。壁の時計を見るとまだ4時半。体調が良いからって調子に乗ってお酒飲んだからなぁ。でも久しぶりに楽しく飲んだんだから、まぁいいや。アタシは大きく身体を伸ばして手をグーパーグーパーさせて頭を左右に振って首の骨をグギグギいわせてからヌクヌクした布団を思い切って跳ね飛ばした。
「はい、起き上がろうね、んんん、」
布団を敷いて寝ているアタシの左側のパラマウントベッドの上半分をグイイインと斜めに起こしてから、シンさんの上半身に背中をくっつけて左腕を回してもらって、オンブする要領でそっとシンさんを起こして畳に足をつかせてあげた。あとはシンさんがどうにかゆっくり歩いてトイレに向かう。
「どう?間に合った?」
「おう。間に合った。」
1980円の電気ストーブを一晩中つけてるけど、それでも今夜は底冷えがするようで、アタシはドアの前で腕を組んで足踏みしつつシンさんを待った。ジョジョ…ジョボジョボ…ジョ…ジョジョ…おお出てる出てる。うまいこと出てるな。シンさんのオシッコの音を聞きながらアタシは嬉しくなる。それから一緒に寝室に戻り、またオンブの姿勢になって寝かせようとしたら、シンさんが言った。
「ルコちゃん悪い、前、ちょっと濡れちゃった。」
「あ、ホントだ、着替えようか。」
タンスから洗い上がったのを出してきてから屈んでパジャマのズボンとパンツを脱がせてあげて、履き替えさせようとしたら、シンさんが足を上げない。
「寒いから早く履きかえようね」
そう言ってシンさんを見上げたら、シンさんが静かな目でアタシを見下ろしていた。
「ルコちゃん、ちょっとしゃぶってくれないかなあ」
あはは、シンさん、いたずら小僧みたいな顔をしている。
「いいよ、座る?」
左手をついて、シンさんがヨッコラショ、とベッドに座った。
「寒くない?」
「大丈夫」
アタシは、すっかり痩せてしまったシンさんの足の間に跪いて、シンさんの先っちょを少し舐めた。
「しょっぱい」
「あ、ごめんごめん」
「いいよ。血圧上がったからちょうどよかったよ」
低血圧なアタシは朝がツライ。シンさんは笑ってくれた。よかった。

 静かな夜だなぁとか夜じゃないなもう朝かとか思いながら、アタシは丁寧にシンさんのを舐めたり含んだり力を込めたり抜いたりした。シンさんは不自由に震える右手でアタシの頭を撫でたり耳を触ったりしてくれた。
「ああ…気持ちいいなあ…」
「キモチイイ?もっと強くしようか?」
「いやこのままでいいよ、ルコちゃん、ずっとくわえててよ」
いいよ。ずっとしてあげるよ。足が寒くないかと思ってアタシはシンさんの両足を腿のあたりから下へゆっくりさすってあげると爪先や踵がやっぱり冷たい。
「シンさん、ベッドに横になってしようよ、足冷え切っちゃうよ」

 シンさんを寝かせて毛布をかけてベッドをフラットにしてからアタシも毛布に潜った。先に足を擦ってあげて、シンさんの足が少し温かくなるまでの間、ふとアタシはシンさんに話しかけた。
「ねえシンさん、アタシ時々独りでする時さ、シンさんと寝た時のこと思い出してやるんだよ」
「・・・・・・」
「寝ちゃった?」
「・・・・・・」
「寝ちゃったの?」
するとシンさんの低い声がまじめに言った。
「ルコちゃん」
「寝ちゃったかと思った」
「ルコちゃんのも舐めてあげるよ」

 何度かシンさんのが少しイイ感じになりかけて、アタシはそのたびにアタシの身体の中に入れてあげようとしたけど、やっぱり無理だった。どこからか救急車のサイレンが聞こえてくる。あぁ遠い地球から聞こえてくるなぁ、って思った。アタシは何度かちゃんとイッた。シンさんがあんまり一生懸命してくれるからアタシはなんだか切なくなった。だからシンさんがイクまでは時間がかかっても続けてあげようと思った。
「ルコちゃん」
「・・・・・・ん?・・・・・・」
「ルコちゃん、他にオトコつくってもいいんだぞ、いいんだからな」

シンさんはアタシをなめながら、静かに呟くように言った。アタシはシンさんをくわえながら、泣いて頭を左右に振った。


[2005/1]

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